2024年6月末でCentOS7の公式サポートが終了しました。
先日、使えるねっとのCentOS7サーバが2025年10月31日にサービスが完全停止することを知りました。
この日を過ぎると、サーバにアクセスできず、データの取り出しも不可能になるようです。
私自身、これまで数多くのCentOS環境をRocky Linux9へ移行してきましたが、標準設定の改善により、以前よりも構築作業は効率的になっています。
しかし、OSの移行は、慣れていても決して単純な作業ではありません。
PHPやデータベースのバージョン変更、セキュリティ設定の差異など、事前に把握しておかないと本番切替後にトラブルが発生するケースもあります。
ここでは、実際の移行で押さえておくべきポイントをご紹介します。
移行時に注意すべき3つのポイント
1. PHPバージョン互換性
CentOS7ではPHP7.3や7.4が主流で、EC-CUBEは4.2までが動作します。
Rocky Linux9ではPHP8.xが標準です。EC-CUBE4.3はPHP8.1 〜 8.3で稼働します。
Rocky Linux9にEC-CUBEを移行する場合は、EC-CUBEも最新バージョンにする必要があります。
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廃止された関数例:
mysql_*
系関数、ereg
系関数 -
仕様変更例:
array_key_exists()
のオブジェクト利用不可化
古いEC-CUBEプラグインや独自カスタマイズコードが動かなくなる可能性があるため、事前テストが必須です。
2. MariaDB設定の違い
Rocky Linux9ではMariaDB 10.11が標準採用されています。
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文字コードは
utf8
ではなくutf8mb4
がデフォルト -
インデックス長の仕様変更
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一部SQL構文の非推奨化
既存データベースをそのまま移すと文字化けやインデックスエラーが起こる可能性があります。
3. メール関連の設定変更
CentOS7から移行すると、メール送信環境が変わるケースがあります。
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sendmail → Postfix への切り替え
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SPF/DKIM/DMARCの再設定
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SMTP認証方式の変更
特にECサイトでは注文メールが届かないトラブルが売上に直結するため、メール設定の移行テストは欠かせません。
実際の移行事例
事例A:BtoB向けEC-CUBEサイト(商品数約15,000点)
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現状環境:使えるねっとVPS(CentOS7, PHP7.3, MySQL5.7)
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移行先:Rocky Linux 9, PHP8.2, MariaDB 10.11
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特徴:外部在庫管理システム連携、複数カスタマイズあり
作業工程と期間
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現状調査・移行計画:3日
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新サーバ構築・初期設定:4日
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PHP・DB設定・調整:3日
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EC-CUBE移行(カスタマイズ対応):5日
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動作テスト・不具合修正:5日
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本番切替・DNS変更:1日
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安定稼働確認:2週間
移行による改善点
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ページ表示速度
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PHPエラーの削減
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外部在庫連携処理時間の短縮化
私が提供している移転作業
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現状サーバの詳細調査
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新サーバの選定サポート
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OSインストール・初期設定(Rocky Linux 9、Alma Linux9など)
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Webサーバ、PHP、データベースの構築
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EC-CUBEやWordPressなどの移行
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独自カスタマイズや設定の移行
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DNS切替と動作確認
作業は一式での対応のみ(部分作業はお受けしていません)
料金目安:80万円〜(規模・内容によって変動)
※料金には現状調査・構築・移行・テスト・本番切替・移行後1ヶ月間の動作保証を含みます。
期限に注意
使えるねっとのCentOS7サーバは2025年10月31日で完全停止します。
この日を過ぎるとサーバにアクセスできず、データの取り出しも不可能です。
移行作業は2〜4週間以上かかるため、期限ギリギリでは間に合わない可能性があります。
また、私自身のスケジュールがあるため作業が逼迫するときはお待ちいただく場合があります。
本番稼働中のECサイトを安全に移行するには、今が着手のタイミングです。
ご相談はこちらから
「そろそろ移転を…」と思ったら、期限ギリギリになる前にご連絡ください。